「介護施設に移ったら、夜勤は減るのかな」
病棟の夜勤がつらくなってきた。施設の看護師なら落ち着いて働けそうだけれど、夜勤はあるのか、少ない看護師で判断できるのか、給料は下がるのかがわからない。
施設看護師は、夜勤の決まりと看護職員の人数、給料を先に知っておくと、自分に合うかを判断しやすくなります。国の基準と統計で見てみましょう。
30秒でわかる結論|施設看護師
- 特養・老健では、夜勤をする職員の人数が国の基準で決まっています。その職員は介護職員でも看護職員でもよいので、看護師が夜勤に入るかどうかは施設ごとに違います。
- 看取り介護加算などを取る特養では、24時間連絡できる体制が求められます。夜に連絡を受ける当番があるかは、施設に確かめましょう。
- 特養の看護職員は、1施設あたり約3.9人(常勤換算・計算値)です。少ない人数で、入所者の日ごろの健康を見守ります。
- 処遇改善加算を取っている介護の施設・事業所で働く看護職員(常勤・月給)の平均給与額は、月384,620円です(一時金を月割りで含む)。
- 看護の仕事の派遣は、特養などでは認められていますが、老健・介護医療院では原則としてできません。
夜勤はどうなる?
施設では、夜勤をする職員の人数が国の基準で決まっています。ただし、その職員は介護職員でも看護職員でもかまいません。

| 施設 | 夜勤をする職員(介護職員または看護職員) |
|---|---|
| 特養(従来型) | 入所者25人まで1人以上、26〜60人2人以上、61〜80人3人以上、81〜100人4人以上 |
| 老健 | 2人以上(入所者40人以下で、いつでも緊急時の連絡ができる体制なら1人以上) |
※ 特養の人数は、併設のショートステイの利用者を合わせた数で数えます。101人からは25人増えるごとに1人を加えます。ユニット型の特養は、別の基準です。
基準のうえでは、夜勤を介護職員だけで組むこともできます。看護師が夜勤に入るかは施設ごとに違うので、確かめる必要があります。
夜の連絡体制と当番
夜勤がなくても、夜に電話を受ける当番(オンコール)を受け持つことがあります。下の決まりにある「24時間連絡できる体制」は、施設の看護職員が受け持つこともあれば、外部の訪問看護ステーションなどと連携して整えることもあります。
- 看取り:特養で看取り介護加算を取るには、常勤の看護師を1人以上置き、24時間連絡できる体制を整える必要があります。
- 看護の体制を手厚くする加算:看護体制加算(Ⅱ)でも、24時間連絡できる体制が求められます。
介護の事業所で働く看護職員に聞いた調査では、「夜間や深夜に何か起きるのではないかと不安」が17.2%でした(全職種では13.0%・複数回答)。夜勤の有無とあわせて、夜の連絡当番の有無と回数を聞いておくと安心です。
仕事はどう変わる?
特養などの施設の看護師の仕事は、病院とちがい、入所している人の日ごろの健康を見守ることが中心です。特養では、医師または看護職員が、常に入所者の健康の状態に気を配り、必要なときは健康を保つための対応をすることになっています。
少ない人数で働く
特養に置く看護職員は、国の基準で、入所者30人までは1人以上、100人なら3人以上です(常勤換算)。
| 施設 | 看護職員(常勤換算) | 1施設あたり(計算値) |
|---|---|---|
| 特養 | 33,727人(8,621施設) | 約3.9人 |
| 老健 | 40,655人(4,214施設) | 約9.6人 |
※ 2024年10月。看護職員は看護師と准看護師の合計です。1施設あたりは、施設の数で割った計算値です。
特養の医師の数は「必要な数」と決められているだけで、下限はありません。医師がどのくらい施設に来るのかは、施設ごとに確かめましょう。
急変したときは、手順に沿って動く
特養は、入所者の具合が急に悪くなったときの対応方法を、医師や協力病院と前もって決めておき、1年に1回以上見直すことになっています。看護師が一人で決めるのではなく、施設の手順に沿って動きます。面接では、その手順が書面になっているかを確かめましょう。
介護職員と分担する
研修を修了して認定を受けた介護職員は、医師の指示のもとで、たんの吸引や経管栄養を行えます。
働く人の悩み
介護の事業所で働く看護職員(2,494人)の悩みは、次のとおりです(2025年・複数回答)。
| 悩み・不満 | 看護職員 |
|---|---|
| 人手が足りない | 42.7% |
| 仕事内容のわりに賃金が低い | 28.2% |
| 昇給がない、少ない | 27.3% |
| 身体的負担が大きい | 22.4% |
| 夜間や深夜に何か起きるのではないかと不安 | 17.2% |
| 介護業務と医療行為の境目が分かりにくいため不安 | 6.5% |
※ 訪問介護など、施設以外の介護の事業所で働く看護職員も含みます。
給料はどうなる?
介護の施設・事業所で働く看護職員(常勤・月給)の平均給与額は、月384,620円です(2024年9月)。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 基本給 | 241,680円 |
| 手当 | 85,260円 |
| 一時金(ボーナスなどを月割り) | 57,680円 |
| 合計 | 384,620円 |
※ 処遇改善の加算を取っている施設・事業所の、前の年から続けて働いている人の平均です。特養・老健など、施設の種類ごとの看護職員の数字はありません。
今の給料とくらべるときは、給与明細の基本給・手当と、年間のボーナスを12で割った額を足すと、おおよそくらべられます。明細の夜勤手当は別に書き出しておきましょう。施設で夜勤の回数が変わると、この額も変わります。
まず派遣で試すなら
法律では、看護の仕事を派遣でしてはいけない場所が決まっています。
| 場所 | 看護の仕事の派遣 |
|---|---|
| 特養などの社会福祉施設 | 認められている |
| 特養の中にある診療所 | 認められている(禁止の「病院・診療所」から外れる) |
| 老健・介護医療院 | 原則できない |
| 病院・診療所 | 原則できない |
| 利用者の自宅(訪問看護など) | 原則できない(訪問入浴介護を除く) |
※ 病院や老健などでも、紹介予定派遣・産休や育休などの代わり・へき地の病院などの場合は、派遣で働けます。
特養などで派遣が認められているのは、利用者の日ごろの健康管理が中心で、病院のような高度なチーム医療が一般的ではないためです。
施設に直接雇われる前に試したいときは、紹介予定派遣という方法もあります。働いたあとに施設に直接雇われることを前提にした派遣で、同じ人が派遣で働けるのは6か月まで、前もって面接ができます。老健でも、紹介予定派遣なら派遣で働けます。施設で働く派遣の人の声は、「派遣看護師はしんどい?」にまとめました。
施設で働く前に、聞いておくこと
- 夜勤:看護師の夜勤があるか、あるなら月に何回か。
- 夜の連絡当番:夜に連絡を受ける当番があるか、月に何回か、呼ばれたら施設へ行くのか。
- 急変したとき:夜や休日に具合が悪くなった人がいたら、誰に連絡し、どう動くか。
- 看護職員の人数:入所者の数と、看護職員が何人いるか(常勤・非常勤)。
- 医師:医師がどのくらい施設に来るか。
- 給料:基本給・手当・ボーナスの内訳と、夜勤手当があるか。
- 派遣で働くとき:派遣会社に、働く施設の種類(特養などか)と契約の期間を聞く。

夜勤と夜の連絡当番の回数がわかると、続けられるかが見えてきます 🌿
派遣のしくみは、「派遣看護師とは?」にまとめました。
まとめ:今日やることは1つだけ
今月の勤務表で夜勤の回数を数え、施設で働くなら夜勤と夜の連絡当番を月何回までにしたいかを書き出す。 施設や派遣会社に、夜勤と夜の当番の有無を具体的に聞けるようになります。
ここまで読んだあなたなら、施設の夜勤の決まりはもうわかっています。次は、自分の夜勤の回数を数えるだけです。
- 特養・老健で夜勤をする職員は、介護職員でも看護職員でもよいため、看護師が夜勤に入るかは施設ごとに違います。
- 看取り介護加算などを取る特養では、24時間連絡できる体制が求められます。
- 特養の看護職員は1施設あたり約3.9人(常勤換算・計算値)で、少ない人数で入所者の健康を見守ります。
- 処遇改善加算を取っている介護の施設・事業所の看護職員(常勤)の平均給与額は月384,620円(一時金の月割りを含む)です。
- 看護の仕事の派遣は、特養などでは認められていますが、老健・介護医療院では原則できません。
※ 参考にした資料
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準
- 厚生労働大臣が定める施設基準
- 厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査」「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」
- 公益財団法人 介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査」
- 社会福祉士及び介護福祉士法
- 労働者派遣法・労働者派遣法施行令
- 厚生労働省「へき地の医療機関並びに社会福祉施設等への看護師等の労働者派遣について」(2021年)


