「もし入院したら、何十万円もかかるのかな」
会社員で、妻と子どもが1人。医療保険には入っていない。入院したら大きなお金がかかると聞いて不安になってきたけれど、実際にいくらかかるのかがわからず、保険に入るべきか決められない。
入院の費用は、実際に払った人の平均と分布と、公的な制度でどこまで抑えられるかがわかると、備える額を考えやすくなります。生命保険文化センター、厚生労働省、協会けんぽの資料をもとに、順に見ていきます。
30秒でわかる結論|入院費用の平均
- 入院したときの自己負担の平均は18.7万円です(2025年度・生命保険文化センター調べ)。
- この額には、治療費だけでなく食事代・差額ベッド代・交通費・日用品も含まれます。高額療養費を使った人は、使った後の金額です。
- 自己負担が20万円未満の人が約7割(66.7%)です。
- 高額療養費では、食事代や差額ベッド代は戻りません。上限までの医療費とこうした分を貯蓄でまかなえるかが、医療保険を考える目安になります。
入院したときの自己負担は、平均18.7万円
生命保険文化センターの2025年度の調査では、過去5年以内に入院した人が直近の入院で払った自己負担の平均は18.7万円でした。
| 自己負担の額 | 割合 |
|---|---|
| 5万円未満 | 10.0% |
| 5〜10万円未満 | 19.7% |
| 10〜20万円未満 | 37.0% |
| 20〜30万円未満 | 12.9% |
| 30〜50万円未満 | 14.0% |
| 50万円以上 | 6.4% |
※ 50万円以上は「50〜100万円未満4.9%」と「100万円以上1.5%」の合計です。調査は18〜79歳の人が対象です。

18.7万円に含まれるもの
自己負担の額には、次のものが含まれています。
- 治療費(高額療養費を使った人は、使った後の額)
- 食事代
- 差額ベッド代
- 交通費(見舞いに来る家族の分も含む)
- 衣類・日用品など
仕事を休んで減った収入(逸失収入)は、この額には入っていません。逸失収入があった人の平均は27.3万円でした。
入院の日数
同じ調査で、直近の入院の日数は平均16.0日でした。5日未満が21.3%、5〜7日が25.4%、8〜14日が27.8%です。
※ 厚生労働省の患者調査(2023年9月に退院した人の記録)では、平均在院日数は28.4日、35〜64歳では20.2日です。精神疾患などの長い入院が全体の平均を押し上げています。数え方が違うので、上の16.0日とは比べられません。
公的な制度で、どこまで抑えられる?
健康保険の高額療養費を使うと、1か月の医療費の自己負担に上限があります。標準報酬月額が28万〜50万円の人(70歳未満)は、85,800円+(総医療費−286,000円)×1%です(2026年8月〜2027年7月)。たとえば1か月の医療費が60万円かかっても、窓口3割なら18万円のところ、上限は88,940円です(計算値)。調査では、直近の入院で高額療養費を使った人は67.6%でした。
マイナ保険証を使えば、限度額適用認定証の申請をしなくても、窓口で払う額が上限までで済みます(オンライン資格確認を導入している医療機関などの場合)。
ただし、次のものは高額療養費の対象外で、上限の外でかかります。
| 費用 | かかるもの |
|---|---|
| 食事代 | 1食550円(一般の人・1日3食まで) |
| 差額ベッド代 | 個室などを選んだ場合の料金 |
※ 食事代は2026年6月から1食550円です。平均の16.0日入院し、毎日3食とると、食事代は26,400円です(計算値)。
差額ベッド代は、病院が設定している1日あたりの料金の平均(推計)で、1人室8,710円、2〜4人室も含めた全体で7,026円です(2025年8月)。これは料金の設定の平均で、患者が払った額の平均ではありません。

高額療養費の上限の外でかかる、食事代や差額ベッド代を先に知っておくと、備える額を考えやすくなります 🌿
医療保険で備えるなら
公的な制度のあとに残る主な自己負担は、次のとおりです。
- 高額療養費の上限までの医療費
- 食事代、差額ベッド代
- 交通費・日用品など
- 仕事を休んで減った収入(会社員なら、健康保険の傷病手当金が休んだ4日目から出ます)
医療保険で備えるのは、主にこの部分です。貯蓄でまかなえるかどうかで、医療保険の必要性は人によって変わります。医療保険そのものが必要かどうかは、「医療保険は必要?いらない?」にまとめました。
まとめ:今日やることは1つだけ
入院したときにすぐ使える貯蓄が、いくらあるかを書き出す。 平均の18.7万円や、上限の外でかかる食事代・差額ベッド代と比べると、医療保険で備える分が見えてきます。
- 入院したときの自己負担の平均は18.7万円で、20万円未満の人が約7割です。
- この額は、食事代・差額ベッド代・交通費・日用品も含み、高額療養費を使った人は使った後の金額です。
- 高額療養費では、食事代(1食550円)や差額ベッド代は戻りません。
- 医療保険で備えるのは、主に公的な制度の外の分です。
※ 参考にした資料
- 公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
- 厚生労働省「令和5年 患者調査」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「入院時食事療養費」「高額な医療費を支払ったとき」「限度額適用認定証」
- 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」(2026年7月)


