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在宅医療の薬剤師は
何をする?
訪問の仕事と、求められること

「在宅をやっている薬局に移ったら、どんな毎日になるんだろう」

門前の薬局で10年。外来の調剤と服薬指導には慣れてきた。在宅に力を入れる薬局の求人も気になるけれど、訪問で何をするのか、自分にできるのか、夜や休日の呼び出しが多いのではと思うと、踏み出せない。

在宅の仕事は、訪問で何をするかと、どの保険で、月に何回まで算定できるか、薬局にどんな体制が求められるかがわかると、自分に合うかを考えやすくなります。法令と厚生労働省の資料で見てみましょう。

30秒でわかる結論|在宅医療の薬剤師

  • 在宅の薬剤師は、通院が難しい患者の家を訪ね、薬の飲み方や残薬、保管の状況を確かめて、医師に文書で報告します。
  • 医療保険で算定できるのは月4回までです。通院が難しい人のうち要介護・要支援の認定がある人は、介護保険の居宅療養管理指導になり、ケアマネジャーへの情報提供も行います。
  • 2026年6月からは、夜間・休日の連絡先を文書で患者に渡すことになりました。
  • 調剤報酬の加算の基準では、夜間・休日の体制を近くの薬局と連携して作ることも認められています。

在宅の薬剤師が、訪問でやること

医療保険の「在宅患者訪問薬剤管理指導」では、薬剤師が次の流れで仕事をします。

  1. 医師の指示を受ける
  2. 薬学的管理指導計画を立てる
  3. 患者の家を訪ねる:服薬指導、服薬支援、薬の飲み方・保管・残薬の確認など
  4. 医師へ文書で報告する

対象は、在宅で療養していて通院が難しい人です。家族や介助者の助けを借りずに歩いて来局できる人は対象になりません。

在宅医療の薬剤師の仕事。通院が難しい患者の家を訪ね、服薬・残薬・保管を確かめて医師へ文書で報告。医療保険の算定は月4回まで、通院が難しい要介護・要支援の人は介護保険の居宅療養管理指導でケアマネジャーへも情報提供。2026年6月から夜間・休日の連絡先を文書で渡す

患者の家でできる「調剤の業務」は限られている

薬剤師は、原則として薬局以外の場所で調剤できません。患者の家などでは、省令で決められた業務だけを行えます。

その一つが、処方箋に疑わしい点がないかを確かめ、あれば処方した医師に問い合わせる業務です。外来で毎日している疑義照会は、患者の家でも行える業務です。処方した医師の同意を得て、薬の数を減らして調剤する業務も、患者の家で行えます。残薬の確認とつながる仕事です。

医療保険と介護保険、どちらで行くか

訪問する人が要介護・要支援の認定(表では「認定」)を受けているかで、使う保険が変わります。

項目 医療保険 介護保険
名前 在宅患者訪問薬剤管理指導 居宅療養管理指導
対象 通院が難しく、認定がない人 通院が難しく、認定がある人
算定の上限 月4回 月4回
報告先 医師 医師・ケアマネジャー

※ 医療保険では、月2回以上算定するときは週1回までです(2026年6月から)。末期の悪性腫瘍の患者などは、医療保険・介護保険とも週2回かつ月8回まで算定できます。

自宅などにいる要介護・要支援の人の訪問は、原則として介護保険の居宅療養管理指導になります。介護保険では、ケアマネジャー(介護支援専門員)に、ケアプランを作るのに必要な情報を伝えることも仕事に入ります。

薬局に求められる体制

夜間・休日の連絡先を、文書で渡す

2026年6月からは、在宅の患者に、休日・夜間を含めて薬剤師と連絡がとれる電話番号と、緊急時の注意事項などを、事前に文書などで渡すことになりました。

調剤報酬の加算の基準でも、夜間・休日の体制は、単独の薬局で作っても、近くの薬局と連携して作ってもよいとされています。

下調べ係
下調べ係

夜や休日の対応を何人で分けているかは、薬局ごとに違います。面接で聞いておくと、くらべやすくなります 🌿

研修と実績

在宅に力を入れる薬局が届け出る「在宅薬学総合体制加算1」では、在宅の算定が直近1年で48回以上あることや、在宅業務の研修と外部の学術研修を受けさせていることが求められます。外部の学術研修には、認知症や緩和医療、意思決定支援などを含むことが望ましいとされています。

都道府県知事が認定する地域連携薬局も、在宅での調剤や指導の実績(過去1年で月平均2回以上など)が要件の一つです。

外来の経験は、在宅で生きる?

在宅の訪問でする服薬指導、残薬の確認、疑義照会、医師への報告は、どれも外来の薬局で毎日していることの延長にあります。在宅業務の研修を用意している薬局もあります。

外来より増えるのは、患者の家を訪ねること、ケアマネジャーとの連携、夜間・休日の対応です。

なお、在宅をしているかどうかで薬剤師の年収を比べた国の統計はありません。年収は、「薬剤師の年収は30代・40代でいくら?」にまとめました。

在宅の薬局を選ぶときに、確かめること

  • 夜間・休日の対応:何人で分けているか。近くの薬局と連携しているか。
  • 在宅の件数:月にどのくらい訪問しているか。個人の家か、施設か。
  • 研修:在宅業務の研修や、外部の学術研修を受けられるか。
  • 地域連携薬局の認定:認定を受けているか。

まとめ:今日やることは1つだけ

在宅の求人に聞きたいことを、メモに書き出す(夜間・休日の対応を何人で分けているか、月の訪問件数、研修)。 面接で同じ質問をすると、薬局どうしをくらべやすくなります。

  • 在宅の薬剤師は、通院が難しい患者の家を訪ね、服薬や残薬を確かめて医師に文書で報告します。
  • 医療保険で算定できるのは月4回まで。通院が難しい要介護・要支援の人は介護保険で、ケアマネジャーへの情報提供も行います。
  • 2026年6月からは、夜間・休日の連絡先を文書で渡すことになりました。
  • 夜間・休日の体制は、近くの薬局と連携して作ることもできます。

※ 参考にした資料

  • 薬剤師法・薬剤師法施行規則
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律・同施行規則
  • 厚生労働省「調剤報酬点数表」「調剤報酬点数表に関する事項」「特掲診療料の施設基準等」(2026年度)
  • 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
  • 厚生労働省「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項」
  • 厚生労働省「地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の件数」
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