夜勤明けの帰り道、信号待ちで意識が飛びそうになる。「この回数、普通なの?」と思っても、聞ける相手がいない。
わかります。「夜勤は月8回まで」「勤務の間は11時間あける」といった数字、法律で決まっていると思っていませんか。調べてみたら、違いました。
このページには、まずあなたの職場がきついかどうかを測る3つの質問を置きました。そのあとに、法律で決まっていることと、看護協会の目安を分けて書いています。
30秒でわかる結論
- 法律で決まっているのは、深夜の割増・休憩・労働時間の上限です。夜勤の回数そのものは、法律では決まっていません。
- 「三交代は月8回以内」「勤務間隔11時間以上」は、看護協会の目安です。法律ではありません。
- 「月72時間」は診療報酬の要件で、病棟全体の平均。あなた一人の上限ではありません。
- 夜勤手当の額を決める法律はありません。法律が求めているのは、深夜の時間帯に25%以上の割増を払うことだけです。
まず、あなたの職場を測る3つの質問
つらさを「自分が弱いから」で片づける前に、職場を測ってみてください。根拠は、このあとに書いてあります。
- 休憩は、本当に取れているか。 取れていない日が続くなら、法律の線を割っています。
- 勤務の間隔は、11時間あいているか。 あいていない日が月に何回あるか数えてみてください。目安を割っている回数が、あなたの負担の大きさです。
- 夜勤手当は、割増込みか、別か。 明細と規程で確かめる。同じ回数でも、手取りの意味が違います。
3つとも「厳しい」なら、あなたの体力ではなく、職場の組み方を疑っていいです。
法律で決まっていること
ここは、どの病院でも守らなければいけない線です。
深夜の割増。 夜10時から朝5時の分は、昼より2割5分以上高い時給がつきます。残業や休日出勤と重なれば、さらに上がります。これは病院が「なし」にはできません。
休憩。 6時間を超える勤務には45分、8時間を超える勤務には1時間の休憩を、勤務の途中に取らせる決まりです。休憩は自由に使えるものなので、「ナースコールが鳴ったら出る」前提の待機は、休憩とは言いにくいです。
労働時間の上限。 1日8時間・週40時間が原則。残業は月45時間・年360時間が線です。

ここ、調べておきました。深夜の割増と休憩と労働時間の上限。この3つが「法律の線」です。
看護協会の「目安」であること
守っている職場は、良い職場。守っていなくても、違法ではない。それだけの話です。
看護協会のガイドラインは、勤務の組み方の基準として、次のようなものを示しています。
- 勤務と勤務の間隔は11時間以上あける
- 1回の拘束時間は13時間以内
- 三交代の夜勤回数は月8回以内を基本にする
- 夜勤の連続は2回まで、連続勤務は5日以内
- 夜勤の途中に1時間以上の休憩、2回連続の夜勤のあとはおおむね48時間以上の休息
ちなみに「二交代は月4回以内」という話をよく聞きますが、ガイドラインにその記述はありません。
つまり、「月8回を超えているから違法」とは言えない。でも、目安を大きく超えている職場は、負担が大きい可能性が高い。そういう位置づけです。
「72時間」の正体
「月72時間を超えると病院が困る」という話も、よく聞きます。
これは、病院が国から受け取るお金の条件のひとつで、看護職員の月平均夜勤時間を72時間以下にする、というものです。ポイントは「平均」であること。病棟全体の平均なので、あなた一人が72時間を超えていても、それ自体は要件違反ではありません。
実際、一般病棟では3人に1人が、月72時間を超えて夜勤をしています。
72時間は病棟の平均なので、あなた一人が超えていても、自動では減りません。減らしたいなら、平均の数字ではなく「私がきつい」と伝えるほうが早いです。

72時間は「病棟の平均」の話。あなた一人の上限ではないんです。ここ、勘違いしやすいところです 📝
夜勤手当は、誰が決めているのか
法律が決めているのは、深夜の時間帯に25%以上の割増を払うこと、だけです。「夜勤1回◯円」という手当の額は、法律にはありません。病院が決めています。
だから、病院によってかなり違います。「夜勤手当」に深夜の割増が含まれている病院が、半分あります。同じ「夜勤手当1万円」でも、割増込みかどうかで手取りの意味が変わります。
定額の夜勤手当の平均は、三交代で1回4〜5千円、二交代で1万円ちょっとです。そしてこの額は、2010年からほぼ横ばいです。
自分の給与明細で、夜勤手当が「割増込み」なのか「割増とは別」なのかを、一度確かめてみてください。就業規則か賃金規程に書いてあるはずです。
夜勤の回数や手当は、転職するときに交渉できる条件のひとつです。転職サイト(人材紹介会社)を使うなら、夜勤の回数は担当者に交渉を任せられます。自分で切り出さなくていい、というのがいちばんの違いです。電話が不安な人は、先に電話に振り回されない登録のしかたを。「まだ2年目だけど」と迷っている人は、こちらの記事もどうぞ。
まとめ
- 法律の線:深夜割増25%以上・休憩45分/1時間・1日8時間週40時間。
- 目安の線:勤務間隔11時間・三交代月8回以内・連続夜勤2回まで(拘束力なし)。
- 72時間は病棟の平均。個人の上限ではない。
- 夜勤手当の額は病院が決める。割増込みかどうかを明細で確かめる。
つらいのは、あなたが弱いからではありません。ものさしを持って、職場を測ってみてください。

数えてみると、はっきりします。目安を割っている日が月に何回あるか。それが、あなたの負担の大きさです 🌱
※ 参考にした資料:労働基準法(第32条・第34条・第36条・第37条)/厚生労働省 労働基準法に関するQ&A/日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」・「2025年 病院看護実態調査」/厚生労働省 診療報酬(入院基本料)の施設基準に関する通知

