「この歳で、雇ってくれるところなんてあるのかな」
夜勤明けの疲れが2日抜けない。去年導入された電子カルテの操作を年下の主任に聞くたびに、小さくなる。親のことも、そろそろ考えないといけない。それでも求人を見たことがないのは、「見ても無駄」と思っているからではないでしょうか。
決めるのはあなたですが、決める材料は下調べ係が集めておきました。このページには、同世代の看護師さんが実際にどれくらい働いていて、どれくらい転職していて、どうやって次の職場を見つけたかの数字と、年齢で断られることについての法律の決まり、そして相談の電話をかける前に決めておくとよいことを書いています。
30秒でわかる結論
- 働いている看護師さんの中でいちばん多い年齢層は45〜49歳。40歳以上が全体の半分以上です。
- 2021年の会員調査では、転職を経験した人の割合は40代で6割、50代で3人に2人でした。
- 求人で年齢を条件にすることは、法律で原則として認められていません。認められるのは定年未満などの限られた場合だけです。
- 難しいのは「年齢」より「探し方」です。同世代は知人の紹介・ハローワーク・ナースセンターで次を見つけた人が多く、転職サイト(人材紹介会社)を使った人は少数でした。つてが無い人には、別の探し方もあります。
同世代は、実際どれくらい働いているのか
厚生労働省がまとめている数字があります。2022年末に働いている看護師さんは全国で約131万人。年齢別でいちばん多いのは45〜49歳で、およそ18万人(14.0%)です。40代以上を全部足すと、看護師さん全体の56.9%。
つまり、病院や施設で働いている看護師さんの半分以上は、40歳以上です。准看護師さんに至っては、いちばん多いのが65歳以上。
「この歳で」と思っているあなたの年齢は、看護の現場では多数派です。


ここ、調べておきました。看護師さんの年齢でいちばん多い層は45〜49歳。「若い人の仕事」というイメージは、数字とは合っていません 📝
同世代は、実際どれくらい転職しているのか
日本看護協会が会員を対象に行った調査(2021年)では、「転職経験あり」と答えた人が、40代で61.6%、50代で67.3%、60歳以上で68.3%でした。20代は18.4%、30代は46.5%です。
年齢が上がるほど、転職した経験のある人は増えます。これは「歳をとるほど転職しやすい」という意味ではなく、長く働くほど職場を変える機会があった、というだけの数字です。ただ、少なくとも「40代・50代で職場を変えた人はめずらしい」わけではない、とは言えます。
同じ調査で、直近の転職先をどうやって見つけたかも聞いています。50代で多かった順に、友人・知人の紹介(42.7%)、ハローワーク(13.7%)、転職先のホームページ(12.3%)、ナースセンター(8.1%)、無料の求人サイト(8.1%)でした。人材紹介会社(転職サイト)は2.6%です。40代でも、上位は知人の紹介・転職先のホームページ・ハローワークでした。
同世代は、自分のつてと公的な窓口で次を見つけている人が多い、ということです。

50代の転職の「きっかけ」でいちばん多いのは、友人・知人の紹介。つてが無い人向けの窓口も、この下に書いておきます 📝
「年齢で断られる」ことについて、法律の決まり
求人を出す側には、決まりがあります。労働施策総合推進法という法律で、募集と採用は「年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」とされています。
年齢を条件にできるのは、決まった場合だけです。たとえば、定年より下の年齢を条件にする場合(無期雇用に限る)、法律で年齢が制限されている業務、新卒と同じ扱い・経験不問で若い人を長期育成する募集、などです。そして定年は、60歳より下に決めることができません。
ですから、年齢を条件にできるのは上の例外のときだけです。多くの求人は、47歳や52歳という年齢を理由に応募を断れません。
ただし、これは「応募できる」という意味で、「採用される」という意味ではありません。ここは正直に書いておきます。採用するかどうかは、職場が決めます。年齢そのものではなく、その職場が求めていることとあなたのできることが合うかどうかで決まります。

「年齢を理由に断る」は原則できない。でも「合うか合わないか」で決まるのは、何歳でも同じです。
難しいのは年齢より、探し方と伝え方
数字と法律を見るかぎり、年齢そのものが壁になっているとは言えません。それでも「難しい」と感じるとしたら、理由はたぶん、次のどれかです。
- 求人を見ていない。 見なければ、あるかどうかも分かりません。ハローワークやナースセンターの求人を眺めるところから始められます(3つの窓口の違い)。ナースセンターには「子育て・介護・定年後」向けの求人の枠もあります。
- 履歴書・職務経歴書が止まっている。 最後に履歴書を書いたのが十何年前、職務経歴書は書いたことがない。この状態は、40代・50代ではふつうです。書けないのではなく、書き方を知らないだけです。
- 条件を自分で交渉するのが気が重い。 夜勤を減らしたい、親に何かあったときに休みを取りやすくしたい。言いにくい条件ほど、代わりに伝えてくれる相手がいると楽になります。
編集部の一人は、別の業界で中途採用の面接をする側にいました。面接で毎回聞いていたのは「何ができて、何がまだできないか」。看護師歴25年なら「できること」は山ほどあるはずで、問題はそれを言葉にする準備があるかどうかだけです。
相談の電話をかける前に、決めておくこと
転職サイト(人材紹介会社)に登録すると、担当者から電話がかかってきます。よくある質問に、年齢の条件は書かれていません。電話が難しければ、メールやLINEでのやり取りもできます。40代・50代で、電話で相談したい人には、向いている仕組みです。
かける前に、これだけ決めておくと話が早いです。
- 変えたいことを、ひとつ選ぶ。 「夜勤を減らしたい」「休みが取りやすい職場がいい」「新しい機器の少ない職場がいい」。全部は叶わないので、いちばんを決めておきます。これは面接でも聞かれます。
- できることを、3つ書き出す。 受け持ってきた患者さんの状態、できる処置、任されてきた係。職務経歴書の元になります。
- 譲れない条件を、ひとつ決める。 通勤時間、給料の下限、勤務形態。ここだけは担当者に最初に伝えます。
決まっていなくても大丈夫です。「まだ何も決めていない」と、最初に言ってしまえばいいのです。

電話は「相談」で構いません。決めてからかける必要はないです。決めるための電話、でいい。
\ 転職サイトの電話が不安な人へ /
在職中のまま、今の職場に知られずに進めるやり方は、こちらの記事にまとめておきました。
まとめ
- 40代・50代の看護師さんは、現場の多数派。年齢を条件にする求人は、法律で原則として認められていない。
- 採用は年齢ではなく「合うかどうか」で決まる。だから、できることと変えたいことを言葉にしておく。
- 電話をかける前に「変えたいこと・できること・譲れないこと」をひとつずつ。決まっていなくても、相談から始めていい。
※ 参考にした資料
- 厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表3(年齢階級別にみた就業保健師等)
- 日本看護協会「2021年 看護職員実態調査」統計表21・23
- 労働施策総合推進法 第9条・同法施行規則 第1条の3/高年齢者雇用安定法 第8条(e-Gov法令検索)
- eナースセンター(都道府県看護協会による無料職業紹介事業)
- ナース専科 転職「よくあるご質問」

