「責任は増えたのに、給料はほとんど変わらない」
7年目。リーダー業務、委員会、後輩の指導。やることは毎年増えるのに、手取りは新人のころから数万円しか変わっていない。「主任候補」と言われても、うれしいより先に「それで、いくら上がるの」と思ってしまう。でも、給料の話を自分から切り出すのは気まずい。面接で「希望年収は」と聞かれる場面も、想像するだけで固まる。
決めるのはあなたですが、決める材料は下調べ係が集めておきました。このページには、看護師さんの給料が実際どう動いているかの全国の数字、「交渉」を自分でやらなくていい仕組み、そして転職で条件を決めるときの順番を書いています。
30秒でわかる結論
- 全国の病院の平均で、新卒の基本給は前の年から3.2%上がったのに、勤続10年は1.6%でした。中堅で「上がらない」と感じるのは、あなたの職場だけの話ではありません。
- 給料や勤務時間などの条件は、雇う側が書面で示す義務があります。紹介会社を通す場合も、紹介の時点で示す決まりです。「聞きにくいから分からないまま」にならなくていい仕組みが、法律にあります。
- ナース専科 転職では、給与や勤務条件の交渉を担当者が代行すると公式に書かれています。紹介会社が利用者からお金を取ることは法律で禁じられています。
- 順番は「変えたいことをひとつ決める → 譲れない数字をひとつ決める → 交渉は任せる」。自分で切り出す場面は、作らなくていい。
看護師さんの給料は、実際どう動いているのか
日本看護協会が全国の病院に聞いた調査があります。2025年の調査で、平均基本給は新卒(高卒・3年課程)で216,416円、勤続10年(31〜32歳・非管理職)で254,286円でした。差は約3.8万円です。
前の年からの上がり方を見ると、新卒の初任給は3.2%(約6,700円)上がったのに対して、勤続10年は1.6%(約3,900円)でした。新卒の上がり幅が、中堅の約2倍でした。
夜勤手当などを含めた税込の月給は、新卒で約28.5万円、勤続10年で約34万円です。これは三交代で夜勤8回の月の想定で、残業代は含みません。

ここ、調べておきました。新卒は3.2%、勤続10年は1.6%。「中堅は上がりにくい」は、気のせいではなく全国の数字に出ています 📝

会員を対象にした別の調査(2021年)では、正規フルタイムの平均基本給は20代で約21.6万円、30代で約25.6万円、40代で約29.1万円でした。年齢とともに上がってはいますが、20代と30代の平均の差は約4万円です。
つまり、7年目で「新人のころとあまり変わらない」と感じるのは、あなたの努力が足りないからでも、あなたの病院が特別だからでもありません。全国の平均が、そういう形をしています。
「聞きにくい」を、法律が先回りしている
給料の話を切り出せない人は多いです。でも、じつは「聞かなくても示される」ことが決まっています。
雇う側は、契約を結ぶときに賃金や労働時間などの条件を明示しなければなりません。賃金と労働時間は書面などで示す決まりです。そして、示された条件が事実と違っていたら、働く側はすぐに契約を解除できます。
紹介会社(転職サイト)を通す場合も同じです。紹介会社と求人を出す側は、紹介の時点で業務内容・賃金・労働時間などを示す義務があり、契約前に変わるならその変更も示さなければなりません。
そして、労働条件は「対等の立場での合意」で決めるもの、と法律に書いてあります。上から決められて飲むものではなく、合意で決めて、合意で変えるもの、という位置づけです。
「交渉」というと身構えますが、中身は「示された条件を見て、合意するかどうかを決める」ことです。自分から切り出さなくても、条件は先に示されます。

給料や勤務時間は「聞くもの」ではなく「示されるもの」。ここを知っているだけで、面接で慌てずに済みます。
転職サイトを使うと、交渉そのものを任せられる
それでも「希望を伝える」場面は残ります。ここを代わりにやるのが、転職サイト(人材紹介会社)の担当者です。
ナース専科 転職の場合、公式サイトにこう書いてあります。「給与・役職・勤務条件など直接聞きづらい条件交渉もキャリアパートナーが代行」。求人を紹介する時点で給与条件や実際の勤務時間、職場の雰囲気も伝え、内定が出たら担当者が間に入って、本人と内定先の双方に入職条件を確認します。
利用者からお金を取ることは、法律で禁じられています。紹介会社の収入は採用した側からの手数料なので、あなたが払うものはありません。
「電話がしつこいのでは」と登録画面を閉じてきた人へ。登録後の連絡は電話から始まりますが、電話が難しければメールやLINEに切り替えられます。「転職を強引に勧めることはありません」とも書いてあります。連絡手段を最初に指定する方法は、下のリンク先にまとめておきました。

「希望年収は」と聞かれる前に、担当者が先に伝えてくれる。聞きにくい話を、担当者に預けられる仕組みです。
転職で条件を決めるときの順番
担当者に任せるにしても、「何を任せるか」は自分で決めておく必要があります。これだけ決めておけば、あとは任せられます。
- 変えたいことを、ひとつ選ぶ。 「給料」なのか「夜勤の回数」なのか「土日の休み」なのか。全部は同時に叶いにくいので、いちばんを決めます。これは面接でも「次の職場で何を変えたいか」として聞かれます。
- 譲れない数字を、ひとつ決める。 月給の下限でも、年収の下限でも、夜勤の上限回数でもいい。「これを下回るなら行かない」という線を、担当者に最初に伝えます。数字は今の給与明細と、上の全国平均を並べて決めると現実的です。
- できることを、3つ書く。 リーダー業務、委員会、後輩指導、受け持ってきた診療科。編集部の一人が別の業界で中途採用の面接をしていたとき、毎回聞いていたのは「何ができて、何がまだできないか」でした。ここが具体的なほど、担当者に希望が正確に伝わります。
決まっていなくても大丈夫です。「まだ何も決めていない」と最初に言えば、担当者と話しながら決められます。決めるための相談から始めて構いません。
\ 転職サイトの電話が不安な人へ /
在職中のまま、今の職場に知られずに進めるやり方は、こちらの記事に。夜勤の回数や手当の決まりごとは、こちらにまとめておきました。
まとめ
- 新卒3.2%・勤続10年1.6%。中堅の給料が上がりにくいのは、全国の数字に出ている。
- 条件は「聞くもの」ではなく「示されるもの」。書面で示す義務が雇う側にあり、違えば契約を解除できる。
- 交渉は担当者に任せられる。決めておくのは「変えたいこと・譲れない数字・できること」の3つだけ。
※ 参考にした資料
- 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」図表9(看護師の給与)
- 日本看護協会「2021年 看護職員実態調査」統計表58・59
- 労働契約法 第3条・第8条/労働基準法 第15条/職業安定法 第5条の3・第32条の3(e-Gov法令検索)
- ナース専科 転職「よくあるご質問」

