「お礼奉公が終わるまでは、辞められない」
在学中に借りた奨学金。卒業して今の病院に入ったのは「◯年働けば返さなくていい」からで、その◯年がまだ残っている。辞めたいと思っても、「途中で辞めたら一括で返せと言われる」「そもそも辞めていいのか分からない」で、考えるのをやめてしまう。契約書は実家で、誰に聞けばいいのかも分からない。
決めるのはあなたですが、決める材料は下調べ係が集めておきました。このページには、奨学金の「貸し手」で扱いがどう違うか、法律で決まっていること、そして辞める前に確かめておく3つの点を書いています。
30秒でわかる結論
- 「お礼奉公」には2種類あります。県(都道府県)の修学資金と、病院独自の奨学金です。前者は、例えば東京・福岡・千葉では「県内の対象施設で5年」が条件で、1つの病院に限りません。後者は契約書次第です。
- 「辞めたら◯万円」のように金額を決めた違約金は、法律で無効です。ただし、県の修学資金は貸付金なので、借りたお金を返す義務は残ります。この2つは別のものです。
- 給料から奨学金を勝手に差し引くことは、原則として法律で禁じられています。
- 辞める前に確かめるのは3つ。「貸し手はどこか」「免除の条件は何か」「途中で辞めたときの返し方はどう書いてあるか」。ここが分かれば、辞められるかどうかは自分で判断できます。
「お礼奉公」には、2種類ある
まず、あなたの奨学金がどちらかを確かめてください。ここで扱いが大きく変わります。
県(都道府県)の修学資金
多くの都道府県が「看護師等修学資金」という制度を持っています。在学中に借り、卒業後に県内の決められた施設で一定年数働くと、申請で返還が免除されます。月額や利子の有無は県ごとに違います(東京都は月2.5万〜10万円・無利子)。
たとえば東京都は「都内施設または指定施設で5年間」、福岡県は「県内の200床未満の病院や診療所などの特定施設で5年間」、千葉県は「県内で引き続き5年間、常勤の看護業務」が条件です。
ここで大事なのは、この3都県では条件が「その県内の対象施設で5年」であって、「その病院で5年」ではないことです。県内の別の対象施設に移っても、要件を満たす形で続けられる場合があります。ただし対象施設の範囲や「続けて5年」かどうかは県ごとに違うので、そこは県の案内で確かめてください。
5年に届く前にやめた場合は返還になりますが、返し方は制度で決まっています。福岡県は原則一括としつつ「やむを得ない事情があれば月賦も相談可」、東京都は病気・出産・育児・介護などの理由で返還を猶予する仕組みがあります。

ここ、調べておきました。県の修学資金は「県内の対象施設で5年」が多い。病院を変えても続けられる場合があります。対象施設は県の案内で 📝

病院独自の奨学金
病院やその法人が、自分のところで働くことを条件に貸すものです。これは県の制度とは別で、条件はあなたが交わした契約書に書いてあります。免除までの年数、途中で辞めたときの返し方、免除の割合。全部そこにあります。
だから、病院独自の奨学金の人は、まず契約書を手元に戻すところからです。実家にあるなら、写真を撮って送ってもらってください。
法律で決まっていること
契約書がどう書いてあっても、法律で無効になる部分と、残る部分があります。
無効になるもの=違約金。 労働基準法は、労働契約を守らなかったときの違約金や、あらかじめ決めた損害賠償額を契約に入れることを禁じています。厚生労働省の解説では、違反した契約は無効で、使用者は「実際に損害を被った場合に、その事実を証明して請求できるに過ぎない」とされています。「辞めたら◯万円払う」という条項は、この部分にあたります。
残るもの=借りたお金。 県の修学資金は「貸付金」です。借りた分を返す義務は、辞めても残ります。違約金が無効になっても、返還が消えるわけではありません。病院の奨学金は契約書の書き方次第なので、労働基準監督署か弁護士に確かめてください。ここを分けておくと、契約書が読みやすくなります。
禁じられているもの=給料からの天引き。 賃金は全額払いが原則で、貸付金を使用者が一方的に賃金から差し引くことは原則禁じられています。働くことを条件にした前貸しと賃金を相殺することも、禁じられています。
そして、辞めること自体は止められません。期間の定めのない雇用なら、申し入れから2週間で終わります。脅したり閉じ込めたりして無理に働かせることは、法律で禁じられています。

「辞めたら違約金」は無効。「借りたお金を返す」は残る。ここを分けて読むと、契約書がこわくなくなります。
辞める前に確かめる3つの点
- 貸し手はどこか。 県か、病院か。県なら県の案内ページに条件がすべて書いてあります。病院なら契約書です。
- 免除の条件は何か。 「どこで」「何年」働けば免除か。県の制度なら、県内の別の対象施設に移っても続けられる可能性があります。病院の制度なら、免除が「全額」か「年数に応じた一部」かも見ておきます。
- 途中で辞めたときの返し方はどう書いてあるか。 一括か、分割か、猶予があるか。県の制度は月賦の相談や猶予の仕組みがあります。「辞めたら◯万円」のように、あらかじめ金額を決めた違約金・賠償の条項は法律で無効です。
分からない部分は、県の担当窓口(県の制度なら)か、労働基準監督署の相談窓口に聞けます。契約書の読み方で迷ったら、その2つが先です。
この3つが分かれば、「辞められない」ではなく「辞めるなら、いくらをどう返すか」の話になります。それが分かってから、辞めるかどうかを決めても遅くありません。
辞めると決めたら
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転職サイトの電話が不安な人へ
まとめ
- 県の修学資金は、例えば東京・福岡・千葉で「県内の対象施設で5年」。1つの病院に限らない。病院の奨学金は契約書次第。
- 金額を決めた「辞めたら違約金」は無効。借りたお金の返還は残る。給料からの天引きは原則禁止。
- 確かめるのは「貸し手・免除の条件・返し方」の3つ。分かってから、辞めるかどうかを決めればいい。
※ 参考にした資料
- 東京都保健医療局「看護師等修学資金貸与事業」/福岡県「看護師等修学資金貸付金について」/千葉県「保健師等修学資金貸付制度について」
- 労働基準法 第5条・第14条・第16条・第17条/民法 第627条(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A(賠償予定の禁止・賃金の全額払い)
- ナース専科 転職「よくあるご質問」


