「もう無理。保育士、辞めたい」
子どもはかわいい。保育の仕事も、嫌いになったわけじゃない。でも、終わらない書類、持ち帰りの製作、職員室の空気。朝、園の門の前で足が止まる日が増えた。
辞めたいと思うのは、あなたが弱いからではありません。そして、辞めたいのが「保育の仕事」なのか、「今の園」なのかで、選べる道は大きく変わります。先に、材料を並べておきました。
30秒でわかる結論
- 保育士が「今の園を辞めたい」と考える理由は、給料が安い(61.6%)・仕事量が多い(54.0%)・労働時間が長い(35.4%)・職場の人間関係(30.1%)です(東京都の調査)。どれも、保育士が園を選ぶときに見比べている項目です。
- 同じ東京都の調査で、「今後も保育士として働き続けたい」人は78.7%でした。辞めたくても、保育まで手放す必要はありません。
- 保育士の有効求人倍率は3.10倍です(全職種の平均は1.20倍)。保育士は、園を選べる側にいます。
- 辞めるのは、あなたの自由です。期間の定めのない雇用なら、申し入れから2週間で終わります。次の園を先に決めてから辞めると、収入が途切れにくくなります。
辞めたいのは、保育の仕事?それとも今の園?
次のうち、当てはまるものを数えてみてください。
- 子どもと過ごす時間は、今もいやではない
- つらいのは、書類や行事の準備の量だ
- 園長や先輩の顔色を見て、毎日疲れている
- 同じ資格で、給料や休みがもっといい園があるなら知りたい
ひとつでも当てはまるなら、辞めたいのは「保育」ではなく「今の園」かもしれません。東京都の調査では、保育士を辞めた人の理由でいちばん多いのも職場の人間関係(31.5%)でした。園が変われば、一緒に働く人も変わります。
反対に、どれにも当てはまらず、子どもと関わること自体がつらいなら、まず体と心を休めることを優先してください。保育士の資格を持ちながら、社会福祉施設等で働いていない人は約123万人います。休むことを選ぶ人も、少なくありません。
園を変えると、何が変わるか
東京都の調査で、保育士が職場を選ぶときに重視したのは、勤務地(72.3%)と職場の人間関係(51.9%)が上位でした。給与・休暇・勤務時間の融通・保育理念が合うかも、3割以上の人が重視しています。
今の園で働き続けるために「こうなってほしい」と望まれていることも、ほぼ同じです。給与(79.4%)・人間関係(58.0%)・休暇(52.7%)・勤務時間の融通(43.1%)。
つまり、あなたが今つらいと感じていることは、多くの保育士が、園を選ぶときに見比べていることです。今の園の中で変えるのは難しくても、園を選び直すときなら、最初から条件として確かめられます。

辞めると決めたら、この順番で
- 次の園を探し始める。 今の園に在籍したままで大丈夫です。仕事と並行して探すのは、あなたの自由です。
- 次の園が決まってから、退職を伝える。 期間の定めのない雇用なら、法律上は申し入れから2週間で終わります。実際には、園の就業規則も確かめたうえで、担任しているクラスの引き継ぎや、運動会・発表会など行事の時期も考えて伝えると、穏やかに進めやすくなります。
- 引き止められても、決めたことは変えなくていい。 「決めたことなので」と繰り返して大丈夫です。
相談先を使うのが不安な人へ、先に答えます
園を探すときは、保育士の求人を紹介する会社(人材紹介)を使う方法があります。「お金がかかる?」「今の園にバレる?」といった、よくある不安に法律の決まりで答えます。
- お金がかかるのでは?紹介会社は、原則として仕事を探す人から手数料を取ってはいけない決まりです。
- 今の園に知られるのでは?紹介会社は、業務で知ったあなたの秘密を正当な理由なく漏らしてはならず、個人情報をみだりに他人に知らせてはいけない決まりです。個人情報を使えるのも、紹介の目的に必要な範囲に限られます。
- 登録したら、辞めないといけないのでは?相談したからといって、辞める義務も、転職する義務もありません。辞めるか・残るかを決めるのは、あなたです。

辞めたいと思うのは、おかしなことではありません。保育士のまま、あなたに合う園を探していいんです 🌷
まとめ
- 「今の園を辞めたい」理由の上位は、給料・仕事量・労働時間・人間関係(東京都の調査)。どれも園を選ぶときに見比べられる。
- 保育士として働き続けたい人は約8割(同じ調査)。保育士の有効求人倍率は3.10倍で、園を選べる側にいる。
- 辞めるのはあなたの自由。次の園を先に決めてから辞めると、収入が途切れにくい。
- 紹介会社は、原則として求職者から手数料を取れず、業務で知った秘密を漏らしてはいけない。
あなたが悪いのではなく、園が合っていないだけかもしれません。 保育を好きなまま働ける場所を、先に探してみてください。
※ 参考にした資料
- 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
- こども家庭庁「保育人材の確保のための総合的な対策」基礎資料
- e-Gov法令検索「民法」第627条、「職業安定法」第5条の5・第32条の3・第51条
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」

