「先輩の顔色ばかり見ている。職員室に入るのが怖い」
子どもの前では笑っていられる。でも、休憩のとき、会議のとき、ひと言話しかけるだけで緊張する。「保育士の世界って、どこもこんなものだよね」。そう言い聞かせて、今日も園に向かっている。
つらいのは、あなたの気にしすぎではありません。そして、「どこの園も同じ」とは限りません。 数字で確かめておきました。
30秒でわかる結論
- 東京都の調査で、保育士が前の園を辞めた理由のいちばんは職場の人間関係(31.5%)でした。人間関係に悩んでいるのは、あなただけではありません。
- 一方、同じ調査で、今の職場の人間関係に満足している保育士は約7割(69.9%)います。人間関係に満足して働いている保育士のほうが、多いのです。
- 嫌な人から離れるのは、逃げではありません。園も、相手を簡単には辞めさせられません。人間関係を変える近道は、あなたの環境を変えることです。
- 先輩や上司の言動が、業務に必要な範囲を超えて働く環境を悪くしているなら、園には相談に応じる体制をつくる義務があります。園の外にも、予約なしで相談できる窓口があります。
- 園を変えるなら、次は人間関係を先に確かめてから選べます。保育士の有効求人倍率は3.10倍で、選ぶ余地があります。
「どこの園も同じ」ではない
東京都の調査で、今の職場の人間関係について聞いた結果です。
| 答え | 割合 |
|---|---|
| 大変満足・満足・やや満足 | 69.9% |
| やや不満・不満・大変不満 | 26.5% |
同じ保育士でも、人間関係に満足している人のほうが多いのです。合わないのは「保育士の世界」ではなく、「今の園の、今の顔ぶれ」かもしれません。
そして、職場を選ぶときに「職場の人間関係」を重視した保育士は51.9%でした。今の園で働き続けるために、人間関係は、次の園を選ぶときに先に確かめてよいことです。

嫌な人から離れるのは、逃げじゃない
「人間関係くらいで辞めるなんて、逃げだと思われる」。そう感じて、踏みとどまっていませんか。
でも、考えてみてください。あなたを苦しめている人が辞めるのを待つのは、あてにしにくい。 職員は、法人でも簡単には解雇できないからです。解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当と認められなければ無効になる決まりです。
つまり、相手が変わるのを待っても、状況は変わりにくい。変えられるのは、相手ではなく、あなたのいる場所です。
- 同じ法人にほかの園があるなら、園長や本部に異動を相談する(通るとは限りません)。
- それが難しいなら、園を変える。
どちらも、嫌な人から離れて、保育を続けるための選択です。それは逃げではなく、自分を守る判断です。 合わない人のために、あなたが好きな仕事まで手放す必要はありません。
その言動、我慢しなくていいものかもしれない
職場の「優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」によって働く環境が害されることがないよう、園(事業主)は、相談に応じて適切に対応する体制を整えなければいけません。これがいわゆるパワハラの防止の決まりです。
- 相談したことを理由に、不利益な扱いをしてはいけない決まりもあります。
- 園の中で相談しにくいときは、総合労働相談コーナーがあります。いじめ・嫌がらせ・パワハラなどの相談を受けていて、全国の労働局や労働基準監督署など378か所にあり、予約はいりません。
あなたの受けていることがパワハラにあたるかは、状況によります。ひとりで判断しなくて大丈夫です。いつ・誰に・何を言われたかを、メモに残しておくと、相談するときに話しやすくなります。
次の園で、同じことを繰り返さないために
園を変えるなら、今度は人間関係を先に見てから選べます。見学や面接のときに、次のところを見ておくと手がかりになります。
- 職員どうしの会話。保育士どうしが声をかけ合っているか。子どもの前だけでなく、職員の間の空気を見ます。
- 担任の組み方。複数担任のクラスで、どう役割を分けているか。
- 休憩の取り方。休憩が取れているか、どこで取っているか。
聞きにくいことは、保育士の求人を紹介する会社(人材紹介)に確かめてもらう方法もあります。仕事を選ぶのも、辞めるのも、あなたの自由です。

嫌な人から離れるのは、逃げじゃありません。変えられるのは、あなたのいる場所です 🌿
まとめ
- 保育士が前の園を辞めた理由のいちばんは、職場の人間関係(東京都の調査で31.5%)。
- 一方で、今の職場の人間関係に満足している保育士は約7割(同じ東京都の調査)。どこの園も同じとは限らない。
- 園も、相手を簡単には辞めさせられない。変えられるのは、あなたのいる場所。 離れるのは逃げではない。
- 業務の範囲を超えた言動で働く環境が害されないよう、園には相談体制の義務がある。園の外にも相談窓口がある。
- 園を変えるなら、次は人間関係を先に確かめて選ぶ。
保育士のまま園だけ変える道と、紹介会社を使うときの決まり(手数料・秘密を守る義務)は、「保育士を辞めたい。辞める前に知ってほしい『保育士のまま、園だけ変える』という道」にまとめておきました。
職員室の前で深呼吸しなくていい園を、次は先に確かめて選べます。 まずは1園、見学で職員どうしの会話を見てみてください。
※ 参考にした資料
- 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
- e-Gov法令検索「労働施策総合推進法」第30条の2、「労働契約法」第16条
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」「確かめよう労働条件」
- こども家庭庁「保育人材の確保のための総合的な対策」基礎資料

