「薬局に移ったら、仕事も給料も変わるのかな」
病院で働いて5年目。病棟の業務と当直で、毎日があっという間に過ぎていく。調剤薬局に移ることも考え始めたけれど、仕事はどう変わるのか、年収は下がるのか、病院で積んだ経験が薬局で生きるのかがわからない。
病院と薬局の違いは、人数の決まり方と給与の平均、経験の数え方の3つを見ると、移るかどうかを判断しやすくなります。国の統計と通知で見てみましょう。
30秒でわかる結論|病院薬剤師と薬局薬剤師
- 薬剤師の6割(60.0%)は薬局で働いています。病院で働く人は17.5%です(2024年末)。
- 法令で決まっている、置かなければならない最低限の薬剤師の人数は、病院では入院患者や外来の処方箋の数、薬局では1日の処方箋の数をもとに計算します。
- 常勤1人あたりの年間の給与の平均は、一般病院で約581万円、保険薬局で約479万円です。集計の範囲が違うので、そのままくらべることはできません。
- 病院での経験は、薬局のかかりつけ薬剤師などの要件で、1年まで薬局の経験に含められます(2026年度の改定後)。
どこで働く人が多いのか
2024年末に届け出た薬剤師は329,045人でした。
| 働く場所 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 薬局 | 197,437人 | 60.0% |
| 病院 | 57,595人 | 17.5% |
※ 病院と診療所を合わせた医療施設では63,290人(19.2%)です。
仕事はどう変わる?
人数の決まり方が違う
病院や薬局が置かなければならない薬剤師の人数は、最低限の数が法令で決まっていて、もとにする数が違います。
| もとにする数 | 薬剤師1人あたり | |
|---|---|---|
| 病院 | 入院患者/外来の処方箋 | 70人(精神・療養は150人)/75枚 |
| 薬局 | 1日の処方箋 | 40枚 |
※ 病院は、入院患者と外来の処方箋のそれぞれで計算した数を足します。どちらも前年(度)の平均で数え、基準は最低限の人数です。
病院では、入院している患者の数も人数の基準に入ります。医療施設で働く薬剤師の多くは、調剤や病棟の業務に就いています。薬局は、処方箋の数がもとになります。
国の決まりでわかるのは、人数の最低限までです。1日の処方箋の枚数と薬剤師の人数は、移る先で確かめましょう。

年収は下がる?
国の医療経済実態調査では、常勤の薬剤師1人あたりの年間の給与の平均は、次のとおりでした。
| 働く場所 | 給料 | 賞与 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般病院 | 約465万円 | 約116万円 | 約581万円 |
| 保険薬局 | 約425万円 | 約55万円 | 約479万円 |
※ 2025年3月末までに終わった、直近1年(事業年度)の分です。病院と薬局では集計の範囲が違い、施設の規模や働く人の年齢もそろっていません。給料には、時間外勤務手当や通勤手当なども含みます。万円未満を四捨五入しているため、合計が合わないことがあります。
平均だけで見ると病院のほうが高いですが、施設や年齢の違いを含んだ数字です。移るかを考えるときは、自分の今の年収と、移る先の条件をくらべましょう。
一般病院の薬剤師の給与は、開設者によっても違い、医療法人では約540万円、公立では約627万円でした。
病院の経験は、薬局でどう数えられる?
薬局の仕事の中には、保険薬局での勤務経験の年数が求められるものがあります。2026年度の改定後は、病院の薬剤師として働いた経験を、1年までその年数に含められます。
| 要件 | 求められる保険薬局の経験 | 病院の1年を含めたとき、保険薬局で要る年数 |
|---|---|---|
| かかりつけ薬剤師 | 3年以上 | 2年以上(計算値) |
| 加算の一部の区分の管理薬剤師 | 5年以上 | 4年以上(計算値) |
※ 含められるのは、病院・診療所の薬剤師としての経験です。かかりつけ薬剤師には、その薬局に週31時間以上の勤務・6か月以上の在籍・研修認定の取得なども求められます。管理薬剤師の条件は、薬局が加算の一部の区分を届け出るときのものです。
たとえば病院で1年以上働いた人なら、かかりつけ薬剤師の経験年数「3年以上」には、保険薬局で2年働いたところで届きます。研修認定などのほかの要件は別です。
管理薬剤師の仕事と条件は、「管理薬剤師とは?」にまとめました。
移る前に、確かめること
- 今の年収:源泉徴収票の支払金額。
- 移る先の年収:基本給・手当・賞与の内訳と、残業代の扱い。
- 処方箋の枚数と人数:1日の処方箋の枚数と、働く薬剤師の人数。
- 勤務の時間:残業や、夜間・休日の当番があるか。
- かかりつけ薬剤師の予定:病院の経験を含めて、いつ要件に届くか。

今の年収を出しておくと、移る先の求人とくらべやすくなります 🌿
薬剤師全体の年収は「薬剤師の年収は?」、転職の求人の動きは「薬剤師の転職は厳しい?」にまとめました。
まとめ:今日やることは1つだけ
去年の源泉徴収票を出して、支払金額(年収)をメモに書き出す。 薬局の求人を見たときに、今の年収とすぐにくらべられます。
- 薬剤師の6割は薬局、病院は17.5%です。
- 最低限の薬剤師の人数は、病院では入院患者と外来の処方箋、薬局では1日の処方箋をもとに計算します。
- 常勤1人あたりの給与の平均は、一般病院で約581万円、保険薬局で約479万円(集計の範囲は違う)です。
- 病院の経験は、かかりつけ薬剤師などの要件で1年まで薬局の経験に含められます。
※ 参考にした資料
- 厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」
- 医療法施行規則、薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
- 厚生労働省「第25回 医療経済実態調査」(2025年実施)
- 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(2026年3月)

