「理学療法士はやめとけ、ってネットで見た。この仕事を選んだのは間違いだった?」
患者さんが初めて自分の足で歩けた日のことは、今も覚えている。この仕事が好きで選んだ。なのに、「やめとけ」という言葉を見るたびに、給料のことも、将来のことも不安になる。
先に言います。「やめとけ」の根拠によく出てくる数字は、読み方を間違えやすいものばかりです。 正しく読めば、あなたに当てはまるかどうかは自分で判断できます。
30秒でわかる結論
- 理学療法士が「やめとけ」と言われる理由は、大きく給料と人数の2つです。
- 給料:理学療法士などの平均は、月の給与(所定内)が約29.8万円、年間の賞与が約71.7万円。ただし平均年齢が全体より8歳ほど若いので、単純には比べられません。
- 人数:国の推計(2019年)では、理学療法士と作業療法士を合わせた働き手が、2040年ごろに必要な人数の約1.5倍になる見込みです。ただしこれは議論のための「たたき台」で、同じ推計の中でも、介護施設や訪問リハビリなど、介護の分野で必要な人数は約2.5万人から約3.8万人に増える見込みです。全体の数字だけで、あなたの将来は決まりません。
- 「やめとけ」を信じる前に、数字を正しく読みましょう。そのうえで、自分の不安が給料なのか、将来なのかを分けて考えます。
数字の正しい読み方
| 言われていること | 正しい読み方 |
|---|---|
| 給料が全体の平均より低い | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士をまとめた数字で、平均年齢は36.2歳と全体より8歳ほど若い |
| 理学療法士の人数が余る | 理学療法士と作業療法士を合わせた、議論のための「たたき台」の推計。全体では働き手が多くなる見込みだが、介護施設や訪問リハビリなど、介護の分野では必要な人数が増える |
給料の数字
国の統計では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の平均は、月の給与(所定内)が約29.8万円、年間の賞与が約71.7万円。年間にするとおよそ430万円です(残業代などを除く概算)。
働く人全体の平均(同じ計算でおよそ510万円)と比べると低く見えます。でも、理学療法士などの平均年齢は36.2歳、全体は44.4歳です。年齢の違う集団を比べて「安い」と決めることはできません。
人数の数字
理学療法士の国家試験の合格者は、これまでに約24.8万人になります。国の推計(2019年)では、作業療法士と合わせた働き手の数が、2040年ごろに必要な人数の約1.5倍になる見込みです。
ただしこの推計は、一定の仮定のもとで国が計算した、議論のための「たたき台」です。
理学療法士が働くのは、病院だけではありません。協会の会員を見ると、病院のほか、診療所・介護老人保健施設・訪問看護ステーション・通所リハビリ・訪問リハビリなどでも働いています。このうち介護老人保健施設や、通所・訪問のリハビリは、介護の分野のサービスです。
そして推計の中身を見ると、この介護の分野で必要な理学療法士・作業療法士は、2018年の約2.5万人から、2040年には約3.8万人に増える見込みです(フルタイムに換算した人数)。全体の「約1.5倍」はこの増加も含めた数字なので、介護の分野だけで全体の差が埋まるわけではありません。それでも、全体の数字だけでは見えない、必要とされる場所が増えている分野があります。

それでも不安が残るなら
数字を読み直しても不安が残るなら、それは「理学療法士という仕事」ではなく、今の職場の条件への不安かもしれません。
- 給料が気になるなら、同じ年代・経験の理学療法士の求人条件を、今の職場と比べましょう。
- 将来が気になるなら、病院以外の働き方(訪問・介護施設など)も含めて、経験を積みたい分野を考えましょう。

「やめとけ」の理由を分けて読めば、自分で変えられるところが見つかります 🌿
まとめ:今日やることは1つだけ
同じ年代の理学療法士の求人条件を1つ、今の職場と並べてみる。 好きで選んだ仕事を、読み方を間違えた数字で手放さなくていい。
- 「やめとけ」と言われる理由は、給料と人数の2つ。
- 給料の平均は、平均年齢が全体より8歳ほど若い集団の数字。単純には比べられない。
- 人数は、全体では働き手が多くなる推計(議論のためのたたき台)。その中でも、介護施設や訪問リハビリなど、介護の分野では必要な人数が増える見込み。
- 理学療法士は、病院のほか、診療所・介護老人保健施設・訪問看護ステーションなどでも働いている。
※ 参考にした資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
- 厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士分科会」資料
- 日本理学療法士協会「統計情報」

