「退院したあの患者さん、家でちゃんと歩けているかな」
病棟で一緒に歩く練習をして、笑顔で退院していった患者さん。でも、家に帰ってからの暮らしは見えない。だからこそ、訪問の仕事が気になっている。ただ、病院と何が違うのか、1人で家に行って大丈夫なのかが分からない。
退院したあとの暮らしが気になるのは、訪問の仕事に向いているサインかもしれません。家での暮らしに関われるのが、訪問の仕事です。移る前に、しくみと働き口を知っておきましょう。
30秒でわかる結論
- 訪問リハビリは、利用する人の自宅で行うリハビリです。
- 理学療法士が訪問の仕事をする働き口は、大きく「訪問リハビリ」と「訪問看護ステーション」の2つです。
- 介護保険では、どちらも利用する人1人につき、1回20分以上・週6回までが基本です。退院してから3か月以内なら、訪問リハビリは週12回まで受けられます。
- 要介護の認定を受けて訪問リハビリを使う人は、この10年で約8万人から約12.6万人に増えています。
- 移る前に、1人で困ったときの相談先と、先輩と一緒に回る期間を確かめましょう。
病院のリハビリと、何が違うのか
| 項目 | 病院のリハビリ | 訪問の仕事 |
|---|---|---|
| 場所 | 病院の中 | 利用する人の自宅 |
| 見られるもの | 訓練室の中での動き | 家の段差や家具など、ふだんの暮らし |
| 一緒に働く人 | 同じ病院のスタッフ | 自宅に1人で訪問し、事業所の医師・看護師と連携する |
訪問では、家の中の段差や、ふだん使っている家具を見ながらリハビリができます。病院の訓練室ではできなかった「その人の暮らしに合わせた練習」が、訪問の仕事の中心です。
訪問の働き口は、大きく2つ
| 働き口 | しくみ |
|---|---|
| 訪問リハビリ | 医師と療法士が中心。医師の指示と、医師と療法士で作る計画に基づいてリハビリをする |
| 訪問看護 | 看護職員が中心の訪問看護ステーション。看護の仕事の一つとしてリハビリをする |
訪問リハビリ
病院・診療所・介護老人保健施設などが行う訪問のサービスです。事業所に医師がいて、医師の指示と、医師と療法士で作る計画に基づいてリハビリをします。今の病院に訪問の部門があれば、そこへ移る道もあります。
訪問看護ステーション
看護職員が中心の事業所で、理学療法士は看護の仕事の一つとしてリハビリを行う位置づけです。主治医から文書で指示を受けて動き、計画書や報告書は看護職員と一緒に作ります。
日本理学療法士協会の会員(休会中の人を除く・2026年3月末)のうち、訪問看護ステーションに所属する人は4,996人います。訪問の求人を探すなら、訪問看護ステーションも候補に入れましょう。
訪問リハビリを使う人は、増えている
要介護の認定を受けて訪問リハビリを使う人の数は、次のとおりです(各年4月審査分)。

※ 要支援の人が使う介護予防訪問リハビリは含みません。
介護保険で訪問看護を受けている人も、同じ10年で約37万人から約76万人に増えています。自宅で受けるサービスを使う人は、増え続けています。

退院したあとの暮らしまで見たい。その思いは、訪問の仕事にそのまま生きます 🌿
移る前に、確かめること
- 1人で困ったときの相談先:訪問は1人で家に行く仕事です。電話で相談できる人がいるかを聞いておきましょう。
- 先輩と一緒に回る期間:最初に同行して回る期間があるかを聞いておきましょう。
- 看護職員との連携:訪問看護ステーションなら、計画書や報告書は看護職員と一緒に作ります。療法士が何人いるかも聞いておきましょう。
- 1日の件数・移動の手段・休みの日の連絡:働き方の基本も、入る前に聞いておきましょう。
まとめ:今日やることは1つだけ
訪問看護ステーションの求人を1つ開いて、「先輩と一緒に回る期間」があるかを見る。 「退院したあとの暮らしまで関わりたい」という思いは、訪問の仕事の出発点になります。
- 訪問リハビリは、利用する人の自宅で行うリハビリです。
- 働き口は、大きく「訪問リハビリ」と「訪問看護ステーション」の2つです。
- 介護保険では、どちらも利用する人1人につき、1回20分以上・週6回までが基本です。
- 要介護の認定を受けて訪問リハビリを使う人は、この10年で約8万人から約12.6万人に増えています。
- 移る前に、1人で困ったときの相談先と、先輩と一緒に回る期間を確かめましょう。
職場の種類ごとの違いは、「理学療法士から転職するなら?」にまとめておきました。
※ 参考にした資料
- 介護保険法
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準…の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)
- 厚生労働省「介護給付費等実態統計」
- 日本理学療法士協会「統計情報」

