「キャリアコーチングって、転職エージェントと何が違うんだろう」
事務職の会社員で、34歳の女性。転職するかはまだ決めていないけれど、このまま今の働き方を続けるか迷っている。SNSでキャリアコーチングの広告を見たが、何をしてくれるのか、キャリア相談や転職エージェントとどう違うのか、お金がかかるのかがわからない。
キャリアコーチング・キャリア相談・転職エージェントは、法律で決まっているかどうかと、求人を紹介するかどうかで比べると、違いが見えてきます。厚生労働省と国民生活センターの資料をもとに、順に見ていきます。
30秒でわかる結論|キャリアコーチングとは
- キャリアコーチングは、キャリアコンサルタントの法律(職業能力開発促進法)にも、職業紹介の法律(職業安定法)にも出てこない言葉です。
- キャリア相談(キャリアコンサルティング)は、相談の中身が法律で決まっていて、それを行う国家資格がキャリアコンサルタントです。国の窓口なら、60分を無料で受けられます。
- 転職エージェントは、求人を紹介する職業紹介の事業です。求職者からは、原則として手数料を取れません。
- 自分が相談したいのが「求人」なのか「迷いの整理」なのかで、向いている相談先が変わります。
3つの違いを、表で比べる
| 項目 | キャリアコーチング | キャリア相談(キャリアコンサルティング) | 転職エージェント(職業紹介) |
|---|---|---|---|
| 法律での決まり | 2つの法律に出てこない言葉 | 職業能力開発促進法で中身が決まっている | 職業安定法で決まっている |
| 相手 | サービスによって違う | 国の窓口は国家資格のキャリアコンサルタント | 職業紹介の事業者 |
| 求人の紹介 | サービスによって違う | 国の窓口では紹介しない | 紹介する |
| 相談する人のお金 | サービスによって違う(有料のものがある) | 国の窓口は無料 | 原則として無料 |
※ 「キャリアコーチング」という言葉は、職業能力開発促進法にも、職業安定法にも出てきません。
※ 国の窓口のキャリアコンサルティングは、職業紹介は行わないと案内されています。

キャリア相談(キャリアコンサルティング)とは
職業能力開発促進法では、キャリアコンサルティングを「職業の選択や、働き方の設計、能力を高めることについての相談に応じ、助言や指導をすること」と決めています。
これを行うキャリアコンサルタントは、国家資格です。
- 試験に合格し、名簿に登録して、はじめて名乗れます。登録は5年ごとの更新です
- 相談で知った秘密を、もらしてはいけない決まりがあります
- 登録していない人が「キャリアコンサルタント」や、まぎらわしい名前を名乗ると、30万円以下の罰金です
登録している人は、2026年9月末で8万7,151人です。

相談する前に、相手の資格と、求人を紹介するかどうかを確かめておくと安心です 🌿
国の窓口なら、60分無料
厚生労働省の委託事業で、全国47か所の「キャリア形成・リスキリング支援センター」と、ハローワークの相談コーナーで受けられます。
- 料金:無料
- 時間:60分。対面かオンライン
- 対象:働いている人と、仕事を探している人(学生は学校のキャリアセンターへ)
- 準備:先に「ジョブ・カード」(これまでの仕事や、やりたいことを書きこむシート)を作る(全部書けていなくても申し込めます)
- しないこと:求人の紹介はしない
転職エージェント(職業紹介)とは
職業安定法では、求人と求職の申込みを受けて、雇用関係が成り立つようにあっせんすることを「職業紹介」と決めています。
転職エージェントは、この職業紹介の事業です。お金を受け取って職業紹介をする事業者は、求職者からは原則として手数料を取れません(厚生労働省令で決めた例外があります)。
求人の紹介を受けて転職先を探したいときは、転職エージェントが向いています。
キャリアコーチングに申し込む前に、確かめること
キャリアコーチングは、法律で中身が決まった言葉ではないので、何をするか・いくらかかるかは、サービスの説明で確かめることになります。申し込む前に、次を確かめておくと安心です。
- 相談したいこと:求人を探したいのか、働き方の迷いを整理したいのか
- 面談で何をするか:自分の考えの整理、目標づくり、転職活動の手伝いなど、どこまでやるか
- 求人を紹介するか:紹介するなら、それは職業紹介です
- 料金:無料の面談のあとに、有料のコースがあるか。総額はいくらか
- 期間と回数:何か月で、何回の面談か
- やめるときの決まり:途中でやめたときに、お金がどうなるか
- 相手の資格:キャリアコンサルタントの登録があるか(なくても違法ではありません。名乗るなら登録が必要です)
※ 国民生活センターは、SNS広告で知った事業者からWeb会議で勧誘されて契約したビジネス講座について、特定商取引法の電話勧誘販売に当たる場合があると注意を呼びかけています。勧誘の形によっては、クーリング・オフの対象になる場合があります。この資料はAI講座などのビジネス講座についてのもので、キャリアコーチングを名指ししたものではありません。Web会議で有料の契約を勧められたときの参考にしてください。
キャリアの相談を受けたことがある人は、1割ほど
厚生労働省の調査では、2024年度にキャリアコンサルティングを受けた人は、働く人全体の12.1%でした(正社員14.8%・正社員以外5.4%)。
まずは国の無料の窓口で整理してみて、それでも足りないときに、有料のサービスを考える順番もあります。
まとめ:今日やることは1つだけ
相談したいことを1行で書き出し、それが「求人を探したい」のか「迷いを整理したい」のかに分ける。 求人なら転職エージェント、迷いの整理ならキャリア相談やキャリアコーチング、と相談先を選びやすくなります。
- キャリアコーチングは、法律に出てこない言葉です。何をするかと料金は、サービスの説明で確かめます。
- キャリアコンサルタントは国家資格で、国の窓口なら60分無料で相談できます。
- 転職エージェントは職業紹介で、求職者からは原則として手数料を取れません。
- 有料のサービスは、何をするか・総額・期間・やめるときの決まりを先に確かめます。
※ 参考にした資料
- 職業能力開発促進法・職業安定法(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「『キャリアコンサルタント』名称独占について」「令和7年度 能力開発基本調査」
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング支援センター」
- キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルタント登録者数」
- 独立行政法人 国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」

